JR西日本の関西地区(JR神戸線・JR京都線・琵琶湖線)において、今年3月のダイヤ改正時に鳴り物入りで導入された新快速の有料座席「Aシート」。

京阪神にちょくちょく足を運んでいる身として、以前からどんな感じなのか気になっていたということもあって、先月某日に実際に姫路駅まで向かい、そこから大阪駅までの区間で乗車してみることとした。

有料座席サービス 新快速「Aシート」:JRおでかけネット

 

はじめに

結論から申し上げると、それなりに需要はあるようで、乗り心地もなかなか良かった。 これから次第に「Aシート」のある車両を増やしていっても良いのではないか、とすら思えるくらいだ(少なくとも、京阪電車の有料座席「プレミアムカー」に対抗できるくらいには)。現時点で一日に計2往復しかないのが本当にもったいない。

 

乗車位置

姫路駅ホームに設置されている「Aシート」乗車口案内。

「Aシート」車両は上り下りともに9号車が該当している。上りだと前から4両目、下りだと後ろから4両目だ。

「Aシート」の乗車口は、上のような案内が足元にあるので、比較的分かりやすい。また、新快速で使用されている車両は3ドア車なのだが、「Aシート」車両の真ん中部分は改造により入れなくなっている。その停車位置には各駅に係員が立っているので、そこでもはっきりとするだろう。なお、その係員は「ここにはAシート車両が来る」ということを繰り返し案内していて、不案内な乗客に対して無料座席の位置を示すなどしていた。

 

乗車整理券の購入

まず大事なことだが、「Aシート」の乗車整理券は事前購入することができない。 有料座席部分に乗車時、乗務員に料金を支払うことによって乗車する権利を手に入れるのだ。これはJR東海やJR東日本で運行されている「ホームライナー」「グリーン車自由席」とは大きな違いである(そう言えば、かつて阪和線でも事前購入制の「ホームライナー」を運行していたことがあった)。JR東日本の「グリーン車自由席」と違い、Suica・ICOCA等でタッチして購入を済ませる、ということもできないので注意。

買った乗車券は乗車中に指定のポケットに入れる。そして、下車時には持ち帰らなければならない。おそらく座席を終点到達まで何度でも使い回すというところから、そうなっているのだろう。

このように、基本的にシステムはアナログチックになっている。もう少し工夫できそうな気もするが、「Aシート」自体実験的といえなくもないところもあるから、こうなるのは致し方ないと言える。

なお、10月1日に行われた消費増税後も、席料は500円で変わりなし。(2019/10/21追記)

 

乗車状況

姫路駅から西明石駅の間は、割と空席が目立っていた。というか、スカスカだった。乗った日が平日ということもあったのか、あるいは当該列車の姫路駅での発車時間が18時過ぎと帰宅するには少々早かったからなのか。要因は様々だったろうが、ともかくアッサリと乗れてしまった。

ただ、西明石駅を過ぎると、それなりに席は埋まってきた。乗車整理券を発券する乗務員さん(二人もいた)の動きもかなり慌ただしくなってくる。途中途中で降りる客もいるものの、たいていは大阪以遠を目指す人だったと思う。

そして、三ノ宮駅に達すると、かなりの乗客が入り込んできた。有料座席部分に入り込む人もいたし、立席部分で立ち止まる人も結構いた。

その後、私は大阪駅で降りたのだけれども、ホームにはAシート目当ての乗客が列を作って並んでいた。それぞれの乗車口に20人以上はいるだろうか、結構な数である。やはり、帰宅の際には、お金を払ってでも良いから座りたい――そう思っている人が結構いるのだろうな、と感じた瞬間だった。