出雲大社内の神楽殿。巨大なしめ縄はあまりにも有名で、多くの観光客が撮影する

先日、京都の祇園の私道内について無許可での撮影が禁止となるなどの事案で、各所で大きな騒ぎとなった。このことは、皆様もご記憶に新しいところだろう。

このことは、地元の方の話によれば、どうも、私有地内に入って勝手に撮影する観光客が跡を絶たないから、ということらしい。特に、芸妓さんや舞妓さんへの被害は既に数多く、地元の受け入れの限界もはるかに超えているとのこと。

今や京都の市街地は観光業でかなり潤っている地域であるから、「来なくなればいい」というのは少々言い過ぎのような気もする。けれども、地元の方々が迷惑に思うような行動や発言は慎まなければならない、というのは本当にその通り。せっかくの名勝地や文化遺産も、迷惑行為などで台無しにされると価値はゼロに等しくなる。何より、地元の方々のお力添えがあってこそ観光を楽しめるのだ、最低限の敬意くらいは示すべきであろう。

「旅の恥はかき捨て」とはよく言ったものであるが、ものにも限度がある。「自分さえ良ければ良いというわけではない」というのは、旅行の際には特に肝に銘じておく必要がある。観光の道中で出会った物事、出来事、ハプニングは、決してあなた専用の遊び道具や客寄せパンダではない。

 

私が現在住んでいる出雲にも、「出雲大社」という非常に有名な観光名所がある。この近辺には、平日・休日を問わず、国内外から多くの観光客が押し寄せてくる。現在のところ、今回の祇園での事案になるほどの迷惑行為には出くわしてはおらず、国宝級の建造物や青銅の鳥居などは綺麗に保たれたままだ。

今もなお定時ガイドが安全に行われているほどの治安が保たれているのは、観光客の方々のマナーの良さもあろうが、第一にはやはり地元の方々の尽力の賜物であろう。もし仮に迷惑行為が続発し、「よそから来た人は二度と境内に立ち入ってはならない」などと地元の方々から突き返されるようなことが起これば、二度と美しいしめ縄を目にすることもできなくなってしまう。

 

観光は確かに楽しい。普段巡り会えないものに出会って、知識や素養などを広めるチャンスでもある。しかし、何度も言うようだが、地域の方々や文化に敬意を払うことだけは、決して忘れてはいけない。そこを守って初めて、観光を始める資格が与えられる、と言って良い。

これからも当サイトでは観光ネタを多く取り上げるであろうが、無節操なことだけは控えるようにしたいし、場合によっては「ネタにしない」ことも考えないといけない。「広まると嬉しい」と考えている人々もいる一方、今回の祇園のように「広まってほしくない」と思っている方々もいるわけで、その人たちの意向には従わなければならない。

 

この記事をご覧になっている皆様方も、ルールとマナー、特に「敬意」の二文字を忘れることなく、観光を楽しんでくださいね。せっかくの思い出を台無しにしてしまわないためにも。